さかいのお出かけ

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読んでおきたい経済学者の著書についてのお話


家で過ごすことが増えた今日この頃、経済学の名著についての本を読みました。

『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』蔭山克秀著

 

一見とっつきにくい経済学の本の内容が分かりやすくまとまっています。

なんといっても特徴的なのが小難しい数学を全く使っていないこと。さらに筆者の蔭山さんのユーモアも相まって、面白おかしく書かれています。

経済学に詳しい人には物足りないのかもしれませんが、実際に各経済学者の著書を読む前に要旨をつかむのにはおススメです。 

正直読み切れるか最初は不安でしたが(実はわたくしアダムスミスの『国富論』の原本読むことを挫折した苦い経験があり…)著者の蔭山さんは普段は予備校の講師をしているそうで、納得の分かりやすさでした。

 

この中でも読んでみて特段興味をそそられたお気に入り(?)の経済学者を紹介します。

 

①ケネー『経済表』

当時、経済学なんてものは存在しなかった時代にその礎を築いた人です。さらにこの人、医者として大成功を収めたうえで知的好奇心から経済について理論を

立てたというのですから驚きです。

経歴もさることながら、私が面白いと感じた点は、「血液循環説」から経済循環の着想を得たという点です。血液は一歩通行ではなく心臓や各臓器を巡っているという考え方から、社会の中でも富が循環し、再生産されていると考えたそうです。

成功する経営者・発明者は生物の生態から学ぶことが多いといいますが、

これもその一例といえるのかもしれません。「生命」「生物」という存在は当たり前のように見えて環境への適応という高度な技を成していますよね。

 

クルーグマンクルーグマン教授の経済入門』(1990)

一番の気になるポイントは、現在のアベノミクスのもとになっている考え方を提唱している点です。私は「経済学」というと机上の空論になってしまいがちだと感じていたのですが、実際に自分が生きているこの時代の経済政策と密接に関わっているということが分かると、自分の目で確かめてみたいと思いますよね。

これは余談ですが彼は蔭山さん曰く、相当に口が悪いそうです(笑)

経済学者だけでなく、政治家も堂々と批判しているようで、そこまで言われると原本を読んでみたくなっちゃいました。

 

マルクス資本論』(1867)

これは、私の安易な マルクス社会主義者 の思い込みに一石を投じてくれました。「え!高校の政経で習った内容は嘘だったの!?」と言いたくなりますよね。そのわけを蔭山さんが分かりやすく説明してくれており、原本を読んでもっと細部を知りたいと思ったので取り上げました。

 

④ユヌス『ムハマド・ユヌス自伝』(1998)

この本についての記事を読み終わって思ったこと。

「ユヌス様、素晴らしすぎる…」

グラミン銀行は高校生の時に習ったなあ~程度の理解度だったので、ユヌスがいかにしてグラミン銀行を設立したのか、バングラデシュの社会情勢について知ることができてそのすごさを改めて感じました。

経済学のあるべき姿をそこに見たような気がします。また、世間一般的に良しとされていることが本当に正しいものか、現実を色眼鏡で見ず踏み込んで観察することの大切さを教えてくれました。

そんな彼の自伝には、人道的な彼のプライベートな部分も記されているようなので、絶対に読んでみようと思っています。

 

ディートン『大脱出』(2013)

主なテーマは「格差」。そのなかでも気になったことがODA

モラルハザードについてです。ODA(政府開発援助)は政府(主に先進国の)が発展途上国に対して行う援助、資金提供のことを言います。一見人道的で、格差を是正する良い手立てのように感じるのですが、ディートンから言わせれば「海外の善意という圧政」らしい…

この一言で自分の固定観念が覆されたのでぜひ読んでみたい一冊です。

 

 

ここまで本で紹介されていた中で気になった五冊を厳選して紹介しました。

「経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる」は経済フィールドの名著がざっと俯瞰できるので、まず何の本から読めばいいかわからない!という人や、時間がないけど教養として経済について学びたい!という人におススメです。こういう本があると、新たな分野への知的好奇心が広がって良いですよね。

 

いつかこれらの原本を読んだときには、また感想を投稿してみたいと思います。

 

ありがとうございました!

 

 

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